Minako Amamiya

雨宮美奈子、美徳はよろめかない

あの頃、韓国と中国で



10月になり、新学期が始まって目紛しく日々が焦りだしている今日この頃。

皆様いかがお過ごしでありましょうか、風が秋めいていていつの間にやら寒さが強まっていますね。
 
実は9月に、わたくしめは韓国(ソウル)中国(上海、マカオ、香港)タイ (バンコクなどへと行ってきました。
 
何があれだって、9月初旬の韓国と日本が竹島でピリピリとしているピークの頃にソウルへ行き、中国の尖閣諸島のデモ真っ盛り(しかも柳条湖事件の日!) の時に上海の空港に降り立つという最もあれな時に行った訳です。 
 
(現地で読んだ新聞)

でもいざ行ってみれば、日本での報道と現地の実態の違いであったりだとかを感じられて、それらを自分の目で見てみるというとても良い経験が出来ました。ほんと、みんな隣国なんだからもう仲良くしちゃえば良いと思うよ…!)

 
 
さてそこでの楽しかったことから、複雑に感じたことなどを少しばかりお伝えしたいと思います。
 

 
 
韓国は、釜山であれば年に1−2度は行くぐらいに身近な存在(福岡からは船ですぐについちゃうよ♡)でありましたが、ソウルは何年かぶりの訪問だったので新鮮で楽いものでした。だけれどもやっぱり時期が時期でしたから、日本語を使わぬように意識しての行動でした。


 

まさにアレな時期に訪問したのですが、アジュマ(日本語で言うおばちゃん)達はとっても優しくて、ビビンバを注文して食べたならば冷麺やら味噌汁までたっぷりとおまけにサービスしてくれました。
 
『キューシューテハッキョ ハクセイイムニダ(九州大学の学生なんです)』言えば、学生なのねーと笑顔で接してくれたり。400円足らずでフルコース!

良い意味でアジアくさい、町並みの騒々しい感じ。なんか、五反田っぽい。


 
文化的な建築物も拝見したり。
歴代の王様の「魂」がここには奉られているそう。韓国では死後に『魂』と『身体』は別物になると考えられているそうで、王様の身体はバラバラにソウル近郊にあるそうです。
 

 
六本木で見たことのあるアノ美術品は、いまはソウルのサムスン美術館にありました。
 


 
韓国人と日本人(というアイデンティティで括るのはあまり好きじゃないんだけれど)の大きな違いってなんだろうなあ、って思ったら『堂々としているところ』なんじゃないかなあと今回の訪問で改めて思いました。
 
これは良い意味でも、そして悪い意味でもあって。わたしは韓国人の方々って「堂々としている」と思うのです。
 
例えばファッションやメイクも主張の強いものが多いイメージですし、言い争いが起きればお互いが主張を堂々としている。どちらにとってもそれは正義、論破されたってそれでも負けと認めない。 その強さ、開き直った感覚って、日本人にはあまり無いものだなあと思うと同時に、日本の外交なんかにはもっとあればいいのになあと感じました。…なんちゃって
 
まあ日本の「堂々としてなささ」、つまり奥ゆかしい謙虚な姿勢がわたしは大好きなので良いのですが、隣国だけれど本当に違うなあとひとつの会話のやり取りからでも思うわけです。やっぱり違う国なんだなあ、韓国。福岡からは東京よりもよっぽど近いのに。
 
 
そういえばサムスン美術館に行く途中、突然見知らぬおばちゃんに韓国語で罵倒されるという貴重なイベントなんかも発生したのですが、ハングルを一年足らずしかやっていないわたしが理解するに、要するに竹島(独島)問題に関しての意見を述べさせたかったようでした。
 
ねえ、おばちゃん…いち大学生に聞いたって何も変わらないし、韓国にお金落としていっているんだから、許してちょ。そう思いながらそそくさと逃げたのでした。ごめんね、アジュマ。
 
そんな人もいれば、後に行くタイで出会った韓国人の若者はあたたかく色々な話をしてくれて(でもやっぱり領土問題には腫れ物のようにお互いに触れられないでいたのもまた事実ではある)、個人レベルで見れば本当に良いひとばかりなのに。と思いました。
 
 
そして、中国。
 


 
上海は去年の12月に行く用事があったので、9ヶ月ぶりの訪問でした。
 
その時と何が違うって、当たり前かもしれないですが『日本人が全然いないよ!』ということ。
 
当時はあっちに行っても、こっちに行っても、背格好から『ああ、あれ日本人だなあ』『あれは駐在員の日本人っぽいなあ』というのが見て取れた訳ですが、今回は本当に全くいない。たまに見ることがあっても、もうこちらに住んでいて慣れている方々で、日本語はあまり使わないでいらっしゃいました。
 
と言うよりもそもそも、日本から上海に飛ぶ飛行機の時点でほとんど日本人客がいませんでした。どうやらほとんどがデモの影響でのキャンセルのよう。(そりゃそうだ)
 
日本の広告だってしっかりとあったぜ、上海。


黙っていれば、何も無い。
それが上海での印象でした。だけれども日本語は使わぬよう、日本人だと思われぬよう心がける行動には徹していました。(日本人?と聞かれたら、シンガポール人だ、と答えるように心がけていました)
  
だけれども、日本人だと分かられたら… 重苦しい雰囲気を纏った上海は、そう思うだけで悲しくなる部分がありました。少なからず、何かあるかもしれない。いや、何かある。だって事実、日本人だと分かられると、少し見つめられる。石を急に投げられる訳じゃない、罵倒される訳じゃない。でも地下鉄で持った日本語のガイドブックに注がれる視線は、そこに確実にありました。
 
ということで、その恐ろしさから逃げ出す為に、急遽滞在を切り上げて香港、マカオ、バンコクでの滞在をすることに。
 
結果として正解だったと思います。やはり、今思えばどこか恐かった。
 
香港やマカオに関しては、中国なようでそうでないような(という言い方しか出来ぬ…)地域なので全く気にすることなく過ごすことが出来ました。日本人もかなり多し。
 



 
マカオって、本当に町並みがヨーロッパみたいです。
 


 
美味しいものばかりの香港
丸テーブルに知らない人同士で席をつめあって、肩を並べて食すは小龍包やら蒸し物三昧!
 



 
マカオの五つ星レストランでのサラダが、ほんとうに美味しかった…
 


 
タイの水上マーケット、朝市で朝ごはん。
 


 
タイは相変わらず平和でした。
従兄弟がタイに住んでるので、時々来ることはあります。
 


 
どの女の子にしようか、と目を輝かせる日本人男性の多い、タイ名物ゴーゴーバーの通り。
そしてわたしも売春婦さんと間違われて、日本人男性に声をかけられる事案が発生。いくら、と尋ねられ…すいません、売り物じゃないんです、わたし…(日本語で断りました)
 

 
中国も、韓国も、ついでにタイも。
 
全てがいいところでした、ご飯も揃って美味しかった。… だからこそ、変な緊張感が流れた上海での空気や、韓国での罵倒なんかはとっても悲しいものでした。
 
中国の活気ある経済の元気さに感動したり、韓国の身近で全く違う文化に驚いたり。そういったものを、もっともっと日本の方にも見に行ってほしいのにこんな状況や緊張感の中ではあまり見られなくなってしまうことがただただ残念です。
 
ここまで楽しそうな記事を書いてしまったかもしれませんが、いざ行ってみれば、全く嫌な目に合わないかと言われるとそんなことは無い、と断言はします。分からないだろうと韓国語で気づかれないように悪口を言われたり、というようなことは実際にありました。実際は分かるので、そのぶん心苦しく。
 
はやく、いつの日か全ての国々の文化にただ驚いたり、感動したり。そうなれたら良いけれど、それは実際はとても難しいのであろうということを今回身にしみて感じました。こんなに根深く恨み合うのであっては、そんな簡単にことは進まないであろう、と。
 
個人レベルで見れば、本当にいい人ばかりです。本当に本当に。
でも、そうじゃない人も、そう思うことが決して出来ない人も沢山いるのもまた事実です。それもまた、個人レベルで。
 
 
ただただ、悲しい。だけれども、そうでない人だって多いんだ。そんな当たり前のことを、だけれどもこの目で見て学んで来れたことが、この夏休みのわたしの大きな収穫でありました。
 
どうなるんだろうなあ、この先。