Minako Amamiya

雨宮美奈子、美徳はよろめかない

上海ガールと香港ガール



ずっと書きたいなと思っていたこと。
 
9月に上海と香港を訪ねた際に、わたしは上海の女性と香港の女性という存在をはっきりと認識し、正直うまく言語化する自信は無いけれどとても『それぞれに特徴』があるなあと強く感じました。これが本当に顕著で面白かったので皆さんにも是非、特に日本女性にお伝えしたいと思って書いてみます。(反日デモのピークであったから写真あまり撮れていないので文章でどうにかお伝えしたい!)
 
この2タイプの女性を、上海ガール香港ガールと名前をつけて区分します。2つの近いようで遠いような、全く違う場所のお話。
 
 
まず、上海ガール
 
上海の女性は、凛として自信を持っている女性が多かった印象でした。若者でも髪を染めているひとは比較的少なく、黒髪が多い。それに合わせてなのか黒系のファッションがかーなーり多かったです。
 
日本語いういわゆる『キャリア女性』的なものを目指しているひとが多い気がしました。サクサクと歩き、セリーヌの黒か青のバッグを持つ、靴だってきちんとしたものを。ブラックベリーをはじめとするスマートフォンを使いこなし、情報をいつでもキャッチできるようなアンテナを持っていて、街の至る所で中国版のVOGUEの広告もみられました。本当にファッショナブル。エルメスバーキン(偽物の可能性は否定しないけど本物もいたはず)も何度か見たし、お約束のようにエルメスのスカーフがついていたのも見ました。
 
男のひとと歩いている場合でも、なんだか女性主導のイメージ。前を歩いて手を引っ張っていたり、なんだか納得しないことがあると議論に持ち込む。(けれど北京とかと違って結構冷静な議論の雰囲気なのがすごい!全く違う!
多少欲しいものがあれども男性に頼まないと、というのは上海ではどうやらナンセンス。自分自身の稼ぎもそこそこにあるから自分で買うこともできるわ、といった空気があってひとりで高級ブティックで買い物する若い女性の姿も数多く。やっぱりここは高学歴で稼ぐ女性が多いのかなあと感じました。夜はカクテル飲みにひとりでもバーにいける、そんな自立心も持っている。
  
 

  
 
何より、この時期だったけれど北京に比べてもかなり冷静だったらしいのが上海(不穏な空気を一切感じなかったとは一切いえないけど!)。
情報の取捨選択を自分で出来るひとが多いのかもしれません。たった数年〜数十年(というほどでもない)のかなりの短期間で完成を目指した街は、スタイリッシュで情報感度が高く、他のアジア諸国にみられるファッションの野暮ったさも全く無くて、そりゃ内側では先進国に追いつかない部分はあるかもしれないけれど、表面はつるつるの新品の最先端ってな感じでした。
メイクは色味が少なくて、アイラインをしっかりとはねさせている人が多かったです。
 
 
中身はどうせ初見では見えないのだから、印象で答えていいとするなら『完璧な街』、そこで強い意志を持って日々を生き抜いているのが上海ガール。ってなかんじかなあ。一昨年ぐらいのDiorの広告にでていた、あの上海のイメージそのものでした。表面だけ磨き上げられた、攻撃力の高い街、上海。そこにいた女性たちは、美しく凛としていて『中国の他所とは違うの』というプライドを持った、格好良いルブタンのハイヒールの似合う黒髪女性でした。
 

 

お次は、香港ガール
 
もしも上海で歩いている女性がバリバリって感じなら、こっちはきゃぴきゃぴとでも言えばいいんでしょうか。キャラクター商標絶対とれてないでしょーというような怪しいキティちゃんなどのキャラクターの怪しい露店で売っているiPhoneケース(だけどこれが本当に可愛いデザイン、原宿系)をはめこんだiPhoneで、あっちやこっちのお洒落なカフェでの風景を撮影している女の子が多くいました。
 
上海とは正反対にカラフルな服を好んできていて、自己主張の強い小物(大きいサングラスや太いベルト)をどんとあわせるファッション。日本のファッション雑誌の浸透もあってか、日本人の若い女性とファッションは全く変わらない感じです。つけまつげも、カラーコンタクトもばっちり。本当に路面店では色とりどりの服を見ました。(わたしはここでアレキサンダーマックィーンのカラフルなスカートを買いました
 
 
大学生も多く、カフェが多いものだから街中は本当に若さで溢れています。街歩きをする若者が多いせいなのか、はたまた坂が多い為なのか、女性はハイヒールよりはぺちゃんこバレエシューズ率かなり高し。ちなみに男性はVANSの靴が多かったです。香港ガール、安くて可愛いものをきちんとおさえるテクニックを持っていました。たっぷりと荷物の入るバッグ、ボックス型のレトロな日本でも流行しているようなバッグが多い。ショッピングが好きな人が本当に多い街なようで、ハイブランドな店よりもセレクトショップのほうが人気があって、ひととかぶることを好まない傾向を感じました。いやもちろん、ハイブランドも人気はあるんですけども。
 
 
メイクは顔を小さく、目を大きく(そして丸く)。
 
眉毛を整えている男の子も多く。日本にそっくりですね。街が小さいのもあって、ひとと繋がっていることを大事にしていそうでした(SNSを使いながら歩いている人が異常に多い)。ひとつひとつの会話が長くて、例えば店のおじちゃんとも話し込むような。上海ガールとの大きな違いとして、香港ガールはとってもおしゃべり。女の子数人できゃーきゃー言いながら歩いていたり、腕を組みながら恋人の耳元でずっと『わたしのこと好き?』確認をしつつ香港の夜景をみるためにロープウェイに向かっていたり。そんな風景をよく見ました。街中を歩いている人間の平均年齢が、明らかに若い街です。
 
 
 
 
 
重要なのはカラフルで可愛いこと。食べ物は恋人と屋台でサクッと麺類、路面電車は2階建てだったり坂道も多いからバレエシューズで動きやすく。若さを享受し全力で楽しんで、夜はクラブへ踊りにいき、ガールズトーク。週末はバカンスがてらマカオにおでかけしてもいいかも、未来はきっと眩しい。そんな空気感を纏ったのが、香港ガールでした。
 
 
ふたつの街に共通していたのは、日本にいるような閉塞感で押しつぶされそうな若者を感じないところでした。本当にすごい、なんだこれ、チャイナマネーのせいか。みんなどこか自信があって、でもその自信は根拠が無いのかもしれなくて、でもそれでも不安を持ってうろうろするよりは前進するという姿勢があるところ。気にして格好悪くみえるぐらいなら、堂々としていた方が性格だってファッションだって素敵だ、という強さを持っているところ。
 
 
日本の若いひとだって、こんなひとたくさんいると思います。でもそんなひとが取り分け多いような、そんな気がしたのが上海ガールと香港ガールでした。全く違ってとっても面白い、でしょ?